第94章

「了解しました、それでは先に上がります」

山田澪は頷いて、彼がエレベーターの角を曲がって見えなくなるまで見送った。

北村誠は社長室に到着すると、ドアをノックした。ドアは閉まっていなかったので、そのまま押し開けて中に入った。

北村健はソファに座り、書類に目を通していた。

「兄さん」

彼はまぶたを持ち上げて北村誠を一瞥した。「座れ」

北村誠は軽く頷き、彼の向かいに座った。「兄さんがこんな遅くに会社に呼びつけたのは、何か用事でもあるんですか?」

北村健は手元の書類を北村誠に投げた。「以前、飛躍が入国制限を受けた件だが、知ってるな?」

「はい、もう解決したんじゃないですか?」

「解...

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